遠野物語と当社

遠野物語110話のゴンゲンサマ

ゴンゲン舞 赤い布は炎を表す
ゴンゲン舞 赤い布は炎を表す

当社では遠野物語110話のゴンゲンサマを奉斎しており、毎年1月15日の年越祭に拝殿でのみ、このゴンゲンサマを拝することが出来る。八幡神楽のゴンゲン舞にだけ遠野物語110話のごとく、赤布を炎に見立て火を喰い消す所作があり、特に火伏せの御利益があると伝わる。

遠野物語の赤河童

赤河童の手水舎
赤河童の手水舎

遠野物語には「他の地方の河童は緑といわれているが、遠野の河童は赤い。口が大きい」という記述があります。当社の手水舎には、遠野物語の河童を忠実に表現した焼き物が用いられています。(沼田三次郎氏作)

遠野物語110話

ゴンゲサマというは、神楽舞の組ごとに一つずつ備われる木彫の像にして、獅子頭とよく似て少しく異なれり。甚だ御利生のあるものなり。新張の八幡社の神楽組のゴンゲサマと、土淵村字五日市の神楽組のゴンゲサマと、かつて途中にて争いをなせしことあり。新張のゴンゲサマ負けて片耳を失いたりとて今もなし。毎年村々を舞いてあるく故、これを見知らぬ者なし。ゴンゲサマの霊験はことに火伏にあり。右の八幡の神楽組かつて附馬牛村に行きて日暮れ宿を取り兼ねしに、ある貧しき者の家にて快くこれを泊めて、五升枡を伏せてその上にゴンゲサマを座え置き、人々は伏したりしに、夜中にがつがつと物を噛む音のするに驚きて起きてみれば、軒端に火の燃えつきてありしを、桝の上なるゴンゲサマ飛び上り飛び上りして火を喰い消してありしなりと。子どもの頭を病む者など、よくゴンゲサマを頼み、その病を噛みてもらうことあり。

遠野物語について

『遠野物語』は柳田国男が明治43年(1910年)に発表した説話集で、日本民俗学の黎明を告げた名著である。この作品は遠野市出身の小説家・民話蒐集家であった佐々木喜善によって語られた遠野盆地~遠野街道にまつわる民話を、柳田が筆記・編纂し自費出版した初期の代表作。その内容は天狗、河童、座敷わらしなど妖怪に纏わるものから山人、マヨイガ、神隠しなどに関する怪談、祀られる神、行事など多岐に渡る。『遠野物語』本編は119話、続いて発表された『遠野物語拾遺』には、299話が収録されている。

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